大学生活、不完全燃焼の人へ

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大学生活は「人生の夏休み」といわれるように、しんどい部活や受験を乗り越えた先のご褒美のような時期で、自由で楽しくて、余るほどの時間があって…。

人によってその時間の使い方は本当に自由で、何が良い・何が悪いかなんて決められないけれど、もしかすると有り余る自由な時間を楽しむ人の中には「なんか物足りないな。」「なんだかんだ部活やってた時の方が毎日楽しかったな…。」ってどこかで感じている人もいるかもしれません。

もし、そういう「モヤっとしたもの」を少しでも抱えている人がいたら、是非この記事がそれに対して何かヒントになったらいいな、と思います。

前置きがとても長くなってしまいましたが、今回インタビューしたのは「早稲田で知らない人はいない。」といわれる、男子チアリーディングチーム「SHOCKERS」さんです!
代表の安藤さんの発する優しい言葉の1つ1つに、深い想いが詰まっているな、と感じさせられました。

立石:本日はよろしくお願いいたします。
まず最初に、自己紹介をお願いします。

安藤さん:社会科学部4年生で15代目SHOCERSの代表を務めさせていただいております安藤亮太です。

SHOCKERSには2年から入っていて、「網戸」って呼ばれています。入ったときに「○○さん」だと距離感がある、ということで「SHOCKERSネーム」っていうSHOCKERS伝統のあだ名をつけて、そこで僕は「網戸」っていうふうに呼ばれています。

※ちなみに、後日由来をお尋ねしたところ、「名前決めの日に直属の先輩が練習場の網戸を壊してしまったから」だそうです!笑

HPには個性豊かな名前がズラリ…!

SHOCKERSは15年間ずっと続いていて、世界的にも珍しい、男子だけでチアリーディングを行っているチームです。
今は少しずついろんな大学…例えば明治大学さんだったりにも広がりをみせているんですけども、中でも早稲田が男子チア発祥のチームになってます。

立石:ありがとうございます。もともと男子チアはあまりないんですね!

安藤さん:混合チームはあるんですよ、男子と女子とか。でも、上に乗る人も男子、支える人も男子っていうのはなかなか珍しいですね。毎年アメリカに演技しに行くんですけど、その時も「異色のチーム」って感じで結構珍しがられますね。

立石:えーすごいですね!本場の舞台に。確かにあんまり聞いたことないです。
動画見たんですけど、「どこからこのジャンプ力が生まれるんだろう?」って思いました(笑)

安藤さん:(笑笑) みんなやったことないところからスタートするんです。やっていた部活もサッカー、バスケ、テニスとか、・・・あとは帰宅部だった人もいるし吹奏楽部とかも。

立石:そこから始めてあのレベルまで成長するんですね…!

SHOCKERSに捧げる毎日

立石:「チア男子」のモデルになったそうですね…?

安藤さん:作者の朝井リョウさんは早稲田出身で、もともとは「チア男子‼」っていう小説を書きおろしてくださったんです。
それをアニメ化するっていう流れが最初に起きて、そのアニメがブレイクしたのかな…?それで舞台になって、それも好評だったらしくて横浜流星さんが主演をされて、映画化っていう形まで発展したんです。

小説
アニメ
舞台
映画

立石:すごいですね!じゃあその映画化されてから見に来る人とかも増えましたか?

安藤さん:お客さんの幅が広がった感じはします。今までは、年に2回やってる単独公演はSHOCKERSを知ってる人が見に来るパターンが結構多かったんですけど、映画公開してからは「初めてSHOCKERS見に来るためにチケット買ってきたよ~」ってお客さんとかが本当に多くなったな、というイメージはありますね。


立石:いいですね。そういう方が増えたら、メンバーの人たちもモチベーション上がりますよね。


立石:次に、普段の練習についてお聞きしたいんですけど 普段の練習量はどれぐらいなんですか?

安藤さん:基本、月・水・金・日が正規の練習で、火・木・土に関しては自主練という形で、自分が練習したい個人技とかを、練習施設に通って練習してます。

だいたい学校がある時は、夕方に集まって始めるので3~4時間ぐらいで、休みの日はもっと時間に余裕があるので、長期休みとかは 2部構成にして午前中の3時間・午後の3時間でガッツリ練習しています。

立石:もうガッツリ体育会系ですね…!
自主練とかもみっちりやる人が多いんですか?

安藤さん:やった方がどんどん自分の幅が広がるので、結構みんな張り切ってやってますね。

立石:じゃあSHOCKERSに所属している方たちは、大学生活の大部分を捧げてるんですね。いいですね!

練習オフショット

立石:練習の内容は例えばどういった事をされてるんですか?

安藤さん:そうですね。それこそ、演技に直結するような技のレベルを段階的に上げるんですけど、個人に関しては自分でやるっていう形にしているので、みんなが集まった時にしかできないこと…例えば人が人の上に乗ったりとか、そういう練習をひたすら音楽に合わせてやってますね。

立石:ひとつのステージに向けての練習にだいたいどのぐらいの期間かけてますか?

安藤さん:例えば、今は11月の下旬に単独公演を控えてるんですけど、2ヶ月間かけて準備しています。

立石:ええ!やっぱりそうですよね。あのクオリティー、2ヶ月は絶対かかりそうです…というか、2ヶ月でも早いくらいですよね(笑)

安藤さん:結構カツカツですね…(笑)

配慮と感謝で人を動かせたら

立石:網戸さんは、代表にどんな形で選ばれたんですか?

安藤さん:選挙で立候補して、最終的には投票で選ばれたという形ですね。

立石:どんなリーダーになりたいっていうふうに考えていましたか?

安藤さん:僕のイメージは、1番上に立って上から「おいで」って引っ張ってあげるリーダーと、背中を後ろから押してあげるリーダーの2通りがあると思っていて、僕はどっちかっていうと背中から押してあげるっていう方ですね。

立石:あ、確かにそんな感じします。

安藤さん:あとはコンセプトとして、個性あふれるメンバーが集まる集団なので、みんなの主体性を活かしたかったんですよ。部活の側面としてどうしても厳しくやっちゃうと恐怖政治みたいなところが出ちゃうんですけど、僕はそうではない人の動かし方がしたくて、「配慮と感謝で人を動かせたらな」っていうのが1番大きなコンセプトでした。

立石:たしかに、いざという時に「支えてあげたい」って思うのはそういう人ですね。

メンバーの雰囲気はどんな方が多いんですか?

安藤さん:ほんとに色々で、ストイックにコツコツやるタイプもいれば、絵に描いたようなひょうきんものもいるし、本当にどストレートに思ったことを言う人もいるし、あとは独特な伝え方する人もいるし…。

立石:なんか本当に1つのクラスみたいですね(笑)男子校の1つのクラスみたい。

安藤さん:まさにそう!男子校の 1つのクラスって感じです(笑)個性は常に爆発しています。

立石:まとめるの大変そうですね(笑)


熊谷:SHOCKERSの「ここは他のサークルには負けない」っていう売りはなんですか?

安藤さん:うちの売りは、もう練習から楽しいことです。
っていうのも男子校みたいだから、常にガヤガヤわちゃわちゃくだらないことで笑い合っていて(笑)自分たちが楽しく好きっていう気持ちでやっていると、結果的にパフォーマンスにも繋がって、いろんな人に「いいね」って言って事が多いので、そこが1番やりがいがありますね。
楽しいし、かつ評価もそれなりにいただけるということで目に見えた達成感があるというか。
それから本当にいろんな機会があるところですね。経験してきたことのないような 、3万人を目の前にする舞台だとか、カメラが回っていろんな人から取材を受けたりとか、単独公演も自分たちでチケットを売って、来てくださる2000~3000人のお客さんにそれ相応の演技を届けるっていうのもなかなかできることじゃないと思うので、大学生がなかなかできないであろうことができるような集団ではないかな、というふうに思っています。

外部公演「SHOCKERS STAGE 2019」

◇過去の取材記事◇
asics取材記事
毎日新聞 取材記事

熊谷:そんなに呼べるってすごいですね!いろんなこと経験されてるんですね。

紅白から卒園式まで…!

大学外ではどんなステージに出られてるんですか?

安藤さん:呼んでもらえたら、基本的に交渉して出ますよ。僕たちの公式メールの方に、例年だとメールが結構入ってくるので、「○月○日○時からこういうイベントあって、報酬はこのぐらい出せて…」みたいな依頼を僕たちが取捨選択させてもらって、スケジュールとかと折り合いをつけて行くんです。

それに合わせて鉄板演技だったりとか、あとはその日その日で練習していて間に合いそうな2~3本の構成を用意して臨むんで、あんまり決まってないです。
広めていく意味もあるので、いろんなところに顔を出すようにしていますね。

立石:その、取捨選択できるほど来るんですか…?

安藤さん:そうですね。結構時期によったりはするんですけど、土日が1カ月全部入っちゃったこととか結構ありましたね。
印象的なイベントだと、メディアが入ったのは結構印象的で、あさイチに呼んでもらったりとか、紅白に呼んでもらったりとか。

立石:紅白出たんですか…!

安藤さん:そうです!一昨年、Hey! Say! JUMPさんとコラボさせてもらって(^^)

第69回 紅白歌合戦


立石:緊張しましたか?

安藤さん:緊張しました(笑)初めての経験だったので…。
あとは地元の大きいお祭りとか、ジャンルはいろいろありますね。ご高齢の方が多いイベントとか、幼稚園児の卒園式とかにも呼ばれたり(笑)それで練習場所だとかの生計を立てたりもしてるんで大切ですね。

保育園のクリスマスパーティーにも。

立石:様々ですね、ほんとに(笑)

そういったステージで踊る時に意識されていることってありますか?

安藤さん:照れちゃうと負けというか…ずっと発信し続けるべきだと思っていて。
初めて見に来たお客さんを引き込むのはなかなか難しくてコツがいるんですけど、でも変わらないのは「自分たちが自信を持って届け続ける」ということで、そこで変に照れちゃうと見てるほうも伝わってしまうので気をつけてます。

立石:確かに、思いっきりやってる姿の方が見ていて気持ちいいです。

安藤さん:あとは「悔しい」という感情を全部出していった方がいいと僕は思っています。「チアリーダーは常に笑っていなくちゃいけない」って言う人もいるんですけど、僕たちは感情をリアルに味わって欲しいので、技が決まって本当に嬉しいのも伝わるし、逆に落ちちゃった時に悔しそうなのも逆に良いと思っていて。感情に嘘はつかないという感じですね。

立石:感情を素直に出しちゃうんですね(^^)

競技としてのチア

立石:1番難しかった技は何ですか?

安藤さん:アメリカに向けて用意したのは1番難しくて。っていうのも、SHOCERSって「男子チアのエンターテイメント集団」と、「競技としてチアリーダーをする集団」という2つの側面があるんですよ。アメリカに向けて演技をする大会期が4ヶ月ぐらいあるんですけど。
本番はちゃんと採点がされて、最終的な合計点で順位を決めるので難易度も当然上がるし、今までの「楽しさ全開のエンターテイメント集団」というよりは「ザ・スポーツ」っていう感じに変わるので、その時は1番技の難易度も高いし絶対に落とせないという緊張感もよりありましたね…。

アメリカの大会NCAでの様子

立石:切り替えが大変ですね。

安藤さん:普段は気楽に、ではないですけど、「お客さんに届くように。そこにちょっとチアを織り込んでいく。」っていう感覚なんですけど、大会は、よりチアを知っている人が演技を見るので、今までとは違う鋭い視点が来るんです。なので手足までしっかり伸ばしたりとかを意識したり。

立石:1個1個の動作が結構気になったりしそうですね。実際行ってみてどうでしたか?

安藤さん:やっぱり本場は違うなって。だいたい3個ぐらいある大会の中で「NCA(AllーStar National Championship)」っていう1番でかい大会で特別枠として呼んでもらえるようになったんです。
向こうってあからさまに、上手かったら写真撮るとか「すごい」みたいな感じなんですけど、ちょっとでも落ちちゃったらもう、ため息が音で聞こえるぐらい…(笑)

立石:えぇ、こわ!日本と違いますね(笑)

安藤さん:そうなんですよ。向こうのリアクションをすごい肌で感じるし、相当でかい会場だったので、空気に飲まれないようになんとか自分たちの演技をやって来ました。

立石:それを経験されたってめちゃくちゃ貴重ですね。緊張しそう…。

安藤さん:そうですね。だから割と僕いじられるぼけキャラみたいなところがあるので、本番前はひたすら笑わせ続けてましたね。自分の達のリズムで乗れるように。

あと、本番前は声出したら元気になると思ったんで、僕たちの応援ソングがあるんですけどそれを歌ったり。

ガチガチになると演技にも出ちゃうので、「1番楽しませたいのであれば パフォーマーが1番楽しまないと」っていう精神は常に持ってやっています。

立石:自分たちが一番楽しむっていいですね(^^)

アメリカでのお写真