約5万人が集まる早稲田大学には、個性的なメンバーが多く在籍しています。そんな中でもひときわ目立つのがここ、便利舎。思い立ったらまず行動でやりたいことをカタチにしていくプロ集団と言えるサークルです。今回はそんな面白い学生たちが集まる企画集団便利舎の代表にお話を聞いてみたいとおもいます。
〇便利舎について
– それではまず、自己紹介をお願いします。
上藤さん:早稲田大学社会科学部2年の上藤 大智(うえふじ だいち)です。企画集団「便利舎」幹事長を務めております。よろしくお願いします。
– 次にサークルについて教えてください。
上藤さん:私たちのサークル「便利舎」は、創立40周年を迎える企画サークルになります。主な活動内容としましては、毎年7月と11月に芸能人の方をお呼びして、トークショーなどを開催しています。
– 1年間を通して、便利舎の方はどのように過ごされているのでしょうか。
上藤さん:まずは4月に新歓を行い、5月に新歓合宿を行います。その後、7月に行われる芸能人の方を呼んだ企画に向けて準備を重ね、イベントを開催。8月にまた合宿があり、11月の企画に向けまた準備を重ねます。12月以降もクリスマスパーティーなど、サークル内の企画がある形になっています。
– 既に聞きたいことが盛りだくさんなので、ひとつずつお聞きしていきたいと思います(笑)
〇芸能人を呼ぶ学生企画集団、多様性の塊
– 7月と11月に行われる「芸能人を呼ぶ企画」とは、どのようなものなのでしょうか。
上藤さん:うちのサークルは本当に自由なんです(笑)みんなでアイデアを持ち寄って、サークル内でプレゼンコンテストを開催して、その中で一番人気だった企画がそのまま実行されます。例えば、おととしはフワちゃんを呼んで「ワセダ・フワちゃん・コレクション」を開催しました。
–ワセダ・フワちゃん・コレクション???
上藤:はい。まだフワちゃんが売れる前の企画で、これからフワちゃんが売れたら忙しくて手が回らなくなってしまうと。だから、その時のためにフワちゃんの影武者を作っておけばバンバンテレビに出れるんじゃないか。ということで、フワちゃんとフワちゃんと仲のいい芸人さんを5~6人呼んで、誰が一番フワちゃんの影武者にふさわしいかを決める企画をやりました。
– 恐ろしい企画ですね(笑)
上藤さん:フワちゃんのトレードマークであるスポーツブラとお団子ヘアーにみんなでなって、フワちゃんが出すお題に答え続ける、というような内容でした。
– 恐ろしい光景ですね(笑)
上藤さん:フワちゃんコレクションなので(笑)
– まさか短時間でこんなにフワちゃんって聞くとは思いませんでした。頭痛くなってきた…。
上藤さん:この話からも分かるように、僕らはものすごく自由に企画をやっています。「何やってもいい」というのがサークルの風潮としてあると思います。
– 思い立ったらすぐ行動、って感じがしますね。
上藤さん:あとは、これは学生企画なんですけど「地味フェス」というのをやりました。これは、怪獣同盟さんとかラテアメさんとかももキュンさんとか、早稲田の中でもアングラなサークルさんたちを集めてフェスをやろうという企画でした。
– フワちゃんから一転、企画の色がまったく違いますね。
上藤さん:そうなんです。それぞれの企画がその立案者によって全然違った色をしていて、またその色の系統もなく全てがバランス良く受け入れられているというのが便利舎の企画サークルとしての魅力です。
– どんな人でも受け入れてくれる雰囲気がありますね。
上藤さん:また、色んな色があるということは、色んな人がいるということですので、それもまた違った強みになるかなと思います。
– と言いますと?
上藤さん:色んな趣味の人が集まっているので、本当に色んな影響を受けやすいです。例えば、マンガやドラマが好きという人がいて、一方でHip-Hopが好きという人がいて、気付いたらHip-Hopにハマっているし、マンガやドラマを観ている、という状況は多くあります。要するに、今まで自分が見たことのない世界を知っている人がいて、それを共有し合える場所でもあるということです。
– いい環境ですね。これぞ大学、という感じがします。
〇需要と供給、考えられた「楽しみ」
– 話は戻りまして、次に、8月の合宿は何をされるのでしょうか。
上藤さん:去年は、千葉の房総半島あたりの道の駅で色々と企画をやらせていただきました。
– どんな企画をされたのでしょうか。
上藤さん:夏休みだったこともあり、子供連れの家族が多くいらしたんですね。なので、その子供をターゲットにした企画を行いました。
– 地域交流のサークルみたいですね(笑)
上藤さん:そうですね。店の入り口に遊びのコーナーを作ったりして、子供たちにお祭り気分を味わってもらいました。あとは飲み物売ったりとか。2日目は、道の駅のなかにある小さなホールみたいな場所で、NHKの「作って遊ぼう」を真似した図画工作をやったりしました。図画工作と「子供たちの夏休みの宿題を手伝おう」というコーナーはものすごく評判がよかったです。
– ボランティアサークルみたいなことやってますね。
上藤さん:来ていただいた方に満足して帰っていただくということを意識して取り組んでいました。
– みんなにフワちゃんの恰好をさせてたサークルとは思えない(笑)面白いことを追求しつつ、ニーズに応えることも忘れない、まさに企画の鑑ですね。
補足ですが、芸能人へのコンタクトも道の駅への交渉も全てサークルのメンバーが行っています。ふざけるときはふざけて、しっかりやるときはしっかりやるこのメリハリは本当にすごいと思います。
〇早稲田祭を牽引する大企画「早稲田王」
– 続いて、上藤さんの担当企画でもある11月の早稲田王についてお話を聞けたらと思います。
上藤さん:はい。まず早稲田王は、「5万人の頂点を決める」というコンセプトで20年ほど続いている企画となっています。東大王はクイズ、というようにこの戦いでは、早稲田愛が勝利のカギとなっていて、最も早稲田愛の強さを証明できた人が王者となります。
– なるほど。
上藤さん:やはりそこには数々の試練を乗り越えなければいけない、ということでなかなか厳つい企画を用意させていただいています。
– 試練ですか…。早稲田王の企画構成をご説明いただけますか。
上藤さん:早稲田王は3つのステージに分かれていて、第1ステージで4人のうち3人が残ります。第2ステージで2人に絞られます。そして第3(ファイナル)ステージで優勝者が決まります。この各ステージに厳つい企画が用意されているわけです。
– そんな厳つい企画についてですが、早稲田王を知らない人のためにも、上藤さんが今まで見たなかで印象に残っているものを教えてください。
上藤さん:3つあって。まず、毎年恒例のゲテモノ(第2ステージ)はやはり強烈です。
– もうヤバいですね。
上藤さん:2つ目は去年の早稲田王であった企画ですね。まず、手錠をかけられた状態からスタートして氷の中にある鍵を取り出します。解錠したあと、障害物競走の網くぐりをやるんですけど、網くぐりの網が有刺鉄線になっていて
– 待ってください、本当に大丈夫ですか?
上藤さん:テストで何度か試したんですけど、かなり危険です(笑)
– そうですよね。
上藤さん:有刺鉄線の網を匍匐前進で潜り抜けたら、その先に大量の土とミルワームが入った箱があるんですね。
– 嫌な予感しかしませんね。
上藤さん:その中から手を使わずに口だけでアメを探します。
– 予感的中ですね。
上藤さん:そのアメを口に入れて、顔を上げたらクリアとなります。
– 厳つすぎる(笑)
上藤さん:このタイムで競うのですが、まず有刺鉄線だけでもキツいんですね。ようやく終わったと思ったらミルワームが待っているわけですから。各企画のなかでも一番出場者の必死さが伝わってきましたね。
– サイコパスなんですかね。
上藤さん:3つ目は、これも去年の企画ですね。第三(ファイナル)ステージで、プランクの姿勢で耐久勝負だったんですけど、それぞれ複雑なバックグラウンドを持ったファイナリストの対決ということで個人的に激アツでした。ファイナリストの二名ですが、ひとりはおととしの早稲田祭で決勝敗退となってしまった人で、もう一方は3年連続面接で落ちていた人なんですね。そんな彼らだからこそ持っている早稲田王へのアツい想いというのが感じられてとても印象に残っています。
– 厳つい企画の裏にはそんな話があったんですね。
上藤さん:ひとりひとりのドラマがあるんですよね。その背景が見えるのってエンタメとして重要だと思っていて、試合でありながらドキュメンタリーであるという点でもやっぱり名勝負だったなと感じます。
– 奥が深いです。
〇メッセージ
– では今までのお話を踏まえて、便利舎とはズバリどのような団体なのでしょうか。
上藤さん:自分の好きなものを企画に繋げるという意識は共通してあると思います。せっかくなら楽しいことをしたほうがいいですし、自分の好きを繋げた方が企画自体も楽しくなると思うんです。だからこそ自由な風潮があるし、のびのびと自分の考えをカタチにできる場所だなと感じます。例えばローランドさんをお呼びしたときも、当時の立案者だった女性の先輩が大ファンで、絶対に呼びたいということで実現した企画でしたし、好きを企画に繋げた良い例だと思います。自分の好きなものを具現化することの重要性をみんなが理解しているからこそ、自然とこういった環境が成り立っていると感じます。
– 人に恵まれているサークルですね。
上藤さん:そうですね。僕自身、リーダーシップ取ってバリバリ引っ張っていくようなタイプじゃないんですね。でも、なんだかんだここまでやって来られたのはやっぱり同期に助けられたりした場面も多くて、そういった点でも本当に人に恵まれたなと感じています。
– いい仲間ですね。そんな同期に向けてメッセージをお願いします。
上藤さん:先ほども申し上げた通り、自分は前に出て引っ張っていくタイプでは全然なくて、本当にみんなに助けられていると感じています。これからも何かあったら支えてほしいし、みんなで走っていこうということは伝えたいですね。
– それでは最後になりますが、この記事を読んでいる新入生に向けてメッセージをお願いします。
上藤さん:色んなサークルとしての多様性は早稲田イチだと思っています。面白いものを作りたいという人はドシドシ入会してほしいです。ただ、企画を作るにあたって面白い人でなければいけない必要はないですし、普通に大学生活楽しみたいという人も大歓迎です。楽しませる自信はあるのでぜひ来てください!
– それでは、便利舎さんについて詳しく知ることができたところで、今回のインタビューはここまでとさせていただきます。お時間いただきありがとうございました。
上藤さん:ありがとうございました。
【補足】
上藤さん:この記事を読んでいる方に伝えたいことですが、まず、便利舎はいつでも入会可能です。いつでもだれでも大歓迎ですので、入りたいと思ったらその瞬間連絡をいただいて構いません。また、途中入会だからと言って学年が下になることはありません。例えば、2年入会の場合、その年の新入生と同期として扱われるサークルもあるようですが、便利舎は学年によって区別するので2年入会でもそのまま2年生として活動できます。
– サークルによって異なるのはややこしいので要注意ですね。
上藤さん:あと、インタビューの冒頭でお伝えしなかったのですが、今年の芸能人企画は7.11月のみでなく、4月にも新歓企画として開催しようと思っています!少しでも興味のある方はぜひご参加ください。
〇まとめ
いかがでしたか?アイデアは人の数だけありますが、実行できるかが大きなカギとなってくると思います。計画段階で熱が冷めたり、壁が高くて諦めたりしてしまいがちですが、こうして同じ学生が自らの力でどんどんと面白い企画を実現していっている姿は非常に刺激になりますね。ワセダ・フワちゃん・フェスティバルも、道の駅企画も、ローランドさんの企画も、おそらく個人単位では無理だと思います。実現したとしても、それまでにとんでもない時間と労力がかかります。しかし、便利舎には長年のノウハウも一緒に頑張る仲間も沢山います。これらはまさしく便利舎だからできたことと言えるでしょう。これからの大学生活、勉強はもちろんのこと、なにかひとつやりたいことを持ってそれを実現するために頑張ることも、面白い過ごし方なのではないでしょうか。そんな生き方に少しでも興味を持った方は、ぜひ一度便利舎さんの活動を覗いてみてください。皆さんの考案した企画に足を運ぶことを楽しみにしています!
【便利舎について】
もっと詳しくご覧になりたい方はこちらから閲覧できます。
活動内容から公式SNS、新歓日程まで掲載されています。