近年、SDGsを筆頭に多くの企業や人々が社会課題に向き合い、またその解決へと力を注いでいます。一方、「近いようで遠い話」、そう思う人もまだ一定数いるのではないでしょうか。
早稲田大学には、社会課題を考え、自らの手で解決しようと活動に熱意を注ぐ学生がいます。大企業との取り組みや、世界との対話など、その活動は学生の枠組みを超えています。
そんな刺激たっぷりの彼女たちの活動はどのようなものなのか。
本日は、AEON TOWA Studentsとして活躍される二人の早大生にお話を聞きました。
〇 はじめに
– それでは、まず皆さんの自己紹介からお願いします。
脇舛さん:早稲田大学文学部3年の脇舛 美菜(わきます みな)と申します。2020年10月から、AEON TOWA Students(AEON TOWA学生支部)の一員として活動させていただいております。どうぞ宜しくお願い致します。
曽我さん:早稲田大学商学部2年の曽我 実由(そが みゆ)と申します。2021年3月からAEON TOWA Studentsに所属しており、今年度はASEP2022のリーダーを務めさせていただいております。本日は宜しくお願い致します。
– では早速ですが、皆さんが活動されている”AEON TOWA”について、どういったものなのかお聞きしてもよろしいでしょうか。
脇舛さん:AEON TOWAは、2020年9月に公益財団法人イオン環境財団と早稲田大学が産学連携での研究を行っていく機関として発足したものでして、正式名称を「早稲田大学AEON TOWAリサーチセンター」と言います。
– なるほど。皆さんはその中の学生支部に所属されているということですね。
脇舛さん:はい。人材育成を目的として、学生が主体的に活動できる場として、私たちが所属している”AEON TOWA Students”があります。
– ありがとうございます。ではなぜ、お二人はこの活動に参加しようと思ったのですか?
曽我さん:私は早稲田農業サークル「こだま」に所属しており、埼玉県本庄市で地域農業に携わっています 。「こだま」での活動を通じて、地域の様々な課題や人と自然の関わりに触れていくなかで、地域社会と環境の持続について関心を抱くようになりました。そんなとき、私の興味分野を知っていた「こだま」の先輩からお誘いの声がかかってAEON TOWAリサーチセンターの存在を知りました。
– 先輩からの誘いがキッカケだったんですね。
曽我さん:はい。その後、調べていく中で、イオンさんの「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する」という基本理念のもと、”人と地域と環境に貢献している姿”と事業内容を知って本当に共感し、本当に共感し、「その共感できる企業さんと大学が提携したリサーチセンターではまさに自分の熱意が燃焼できる。そして社会に大きなインパクトを及ぼせる活動が行える!」と思いました。また、消費行動に関心があって商学部に入学したこともあり、小売日本一のAEONという企業には元々興味津々だったんです。このことも決め手となり、そんなイオンさんと共に社会課題解決を行いながら学ぶべく、AEON TOWA Studentsとなることを決めました。このように私は私なりのビジョンとイオンさん、そしてリサーチセンターの理念が合致して加入を決めたのですが、他のメンバーもそれぞれの意志を抱いて参加しています。
– まさに運命の出会いですね。脇舛さんはいかがでしょうか?
脇舛さん:私はAEON TOWAが発足して間もない2020年10月に参加したのですが、当時は曽我さんのように「これ」といった興味分野は定まっていませんでした。ただ、「地域」であったり、「グローバル」であったり、様々な社会問題の解決に関心を持っていたので、それを知っている先輩や先生にお誘いいただき参加させていただくことになりました。
– お二人とも先輩や先生方がAEON TOWAに入るキッカケを作ってくださったんですね。新しい環境へ一歩踏み出すのは勇気のいることだと思いますが、いざ飛び込んでみてAEON TOWAの雰囲気はいかがでしたか?
脇舛さん:初期メンバーとして活動に参加させていただいたのですが、これから一緒に活動をしていく周りの学生だけでなく、活動を支えてくださる先生方の存在も大きく、とても入りやすかったです。経験や知識が全くない私でも、様々な分野での第一人者の先生方が近くにいて、丁寧にサポートして下さるので、本当に心強いです。「私一人じゃない」という気持ちになれるので、非常に挑戦しやすい環境だなとも感じます。
曽我さん:私は、コロナ禍でのオンライン授業など、入学してから人と関わる機会がなく、それこそ先生方や企業の方と関わる機会なんて全く無かったため、AEON TOWAに入る前は不安な気持ちもありました。しかし、先ほど脇舛さんも仰ってくださった通り、AEON TOWAでは自分より能力や経験値の高い方々が優しく柔らかい雰囲気でサポートしてくださるんですよね。未経験の状態を良しとしてくれて、また、そこから伸ばしてくれようとする姿勢で受け入れてくださったので、私も「ここで成長したい!」と思うようになりました。自分から積極的に意見を出し、活動に参加できているのも、こうしたAEON TOWAの温かい雰囲気のおかげだと感じています。
– ありがとうございます。挑戦できる環境があり、挑戦が経験になり成長に繋がる、またそれを心強い大人がサポートしてくれる、AEON TOWAはそんな素晴らしい場所なんですね。
〇 活動内容について
– では次に、皆さんの活動内容について教えてください。
曽我さん:はい。2021年度は3つのプロジェクトを中心に活動してきました。1つ目のプロジェクトは、昨年8月に行われた公益財団法人イオン環境財団主催アジア学生交流環境フォーラム「ASEP」の運営です。
アジア各国の大学生が集い、環境問題や各国の自然環境、価値観を学ぶとともに意見交換や提案を行うフォーラムです。こちらが今年度の中心の活動になっていく予定のプロジェクトとなっています。
そして2つ目のプロジェクトとして9月には、イオン株式会社様の5daysインターンを開催しました。学生が企業さんと共に作る、イオンさんと早稲田大学による史上初の協働インターンシップとなりました。
3つ目のプロジェクトとして地域ICTの取り組みも行われています。こちらのプロジェクトでは、早稲田大学の地域おこしサークルの現地活動での行動記録を活かして、社会貢献の「見える化」ができるようなしくみづくりができないかという挑戦をしています。
このほかにもAEONの2030年戦略に若い声を取り入れるべく開催されたイオン戦略策定ワークショップに参加したり、「Future Earth」対話プロジェクト準備会合に学生代表として出席し、「自然と調和したライフスタイル」からSDGsを考える」対話を行ったりするなど、地域・環境・社会課題解決に貢献する様々な活動に邁進しました。
※3/16に行われるシンポジウムにて、これらの取り組みが紹介されます!興味のある方はぜひ彼女たちの活動を覗いてみてください!(概要はこちら)
– ありがとうございます。これらの活動を通じて、お二人が得た個人的な経験や想いについて教えてください。
曽我さん:私が想いのなかで特にこの場でお話したいのは”自己成長”ですね。私が感じている自己成長は、共に育むと書いて「共育」という2文字の言葉に集約されると思っていて。
– と言いますと。
曽我さん:大学のサークルは、プロジェクトに携わるのが学生のみだということが多いと思います。その中でAEON TOWA Studentsはイオンで働く皆様や国内外の教授をはじめとした、実に様々な社会人と共に活動を行います。その中で学べることの多さは本当にAEON TOWA Studentsの魅力だと思ってます。AEON TOWAリサーチセンターは、今述べた「共育」を大切に掲げています。イオンピープル、すなわちイオンで働く人々と早稲田大学の学生をはじめ、センターでの活動に携わるあらゆる立場の人々が共に学び、共に成長するというセンターの在り方です。この「共育」が大きな自己成長に繋がっているのだなと日々感じています。
〇 「私×〇〇」
– 先ほどお聞きした「個人的な経験や想い」について、詳しくお話を聞かせていただけますでしょうか。
曽我さん:はい。インターンでは、イオン株式会社様にて実際に人事を司られている方々と共にプロジェクトを進めていました。一緒に活動させていただくと、実際に社会で働く現場を生で見ることができ、「社会で働く」ということはどういうことなのか、イメージを鮮明につけることができました。また、ビジネスにおける礼儀も学ばせていただきました。
ASEPでは、お世話になったイオンピープルから、プロジェクトを進める上で大切にすべきことを学びました。私は今まで規模が大きくて努力を要するプロジェクトほど真面目に堅く取り組むものなのだと構えてきました。ですが、ASEPを中心となって運営していたイオンピープルはとにかく困難が多い中で、いつでも楽しそうに、ワクワクしてプロジェクトに打ち込んでいたんです。はじめは驚きましたが、その方の笑顔が会議現場を和ませて前向きに事が進んでいったんですね。彼女から「困難なときこそ、ワクワクしよう」ということを学びました。
脇舛さん:イオンピープルはもちろんのこと、先生方からも多くのことを学ばせていただきました。AEON TOWAリサーチセンターでお世話になる教員の方々は、メンバーの興味分野に関して、日本の第一人者です。その先生方は、最新の学術研究や自分にはなかった知見を与えてくれます。また、メンバーの興味・関心に合わせて日本の第一線で活躍される方から学ぶ機会を設けてくださることもありました。このように、AEON TOWA リサーチセンターでは、学生は教員と至近距離で関わることができ、自らの成長に繋がる絶好の場となっています。
– 「私×イオンピープル」、「私×教員」といったAEON TOWAならではの関りが、皆さんの挑戦を後押しして、成長させてくれるんですね。
曽我さん:また、AEON TOWA Students同士でも「共育」し合っています。チームでプロジェクトを進める中で、一人一人の長所が現れ、それが大きくプロジェクトを前進させてきました。こうした彼らの自分にはない強みを吸収できるのも、AEON TOWAで得た経験のひとつだと思います。例えば、熱くビジョンを掲げ、困難にぶつかってもメンバーのやる気を奮起させてチームを率いるメンバーの統率力、参加者募集にあたり、とにかく色々なコミュニティに駆け回り国籍関係なく人集めを行ってくれたメンバーの、地道に汗をかいて困難を克服する能力などを学ばせてもらいました。
– 相互成長できる環境に学生のうちから参加できることは、とても良い経験になりそうで羨ましいばかりです。
〇 世界と対話する場所、”アジア学生交流環境フォーラム(ASEP)”
– 皆さんの中心活動のひとつである”ASEP”について、詳しく教えていただけますでしょうか。
曽我さん:ASEPは、グローバルなステージで活躍する環境人材育成を目的として、アジアの大学生が議論やフィールドワークを通じて、「個人と、個人が属する社会の中で絶対化された問題を相対化して、根本から問題を問い直し、地球を環境面から良い方向に向かわせる力になる」よう提言すべく、公益財団法人イオン環境財団によって毎年開催されています。例えば、海外経験のない日本人参加者1人が捉える問題は、日本社会の中で醸成された絶対的な認知世界でしか捉えることができていません。それをアジア9ヵ国の学生が同じ一つの問題やテーマに対して取り組むことで、「あ、これって実は当たり前じゃなかったんだ」とか、「こういうアプローチが存在するんだ」「他の国ができることなら自分たちもできるのではないか」という気づきが生まれ、新しい可能性が生まれてくる。その環境づくりをしているのが”ASEP”になります。
– 本気で世の中を変えたいと思う世界の学生たちが集まっているASEPにおいて、そういったグローバル人材と議論することは、とても良い刺激になりそうですね。「自分たち若者の手で世の中を変えるんだ」という意気込みと、そのためにはどうすれば良いかと試行錯誤する機会としてASEPがあるのだなと感じます。
脇舛さん:そうですね。ASEPに標語を掲げるとすれば、“ASEP To create borderless endeavor for the better future”だと思っています。複雑な問題だらけの時代、一国の、1大学の学生の議論だけではそう簡単に問題は解決できません。今や国籍関係なく、皆がボーダレスに持っているものを持ち寄ってアクションを起こしていくべきであり、ASEPはそのプラットフォームになると信じています。ASEPにより「早稲田大学の学生が」「インドネシア大学の学生が」ではなく、「アジアの学生が」に主語をレベルアップさせることで、かつAEONさんという大企業、各国大学、専門家といった大きなソーシャルインパクトを持つ関係者と共創することで、よりしあわせな未来への着実な一歩が踏み出されるのではないかと確信しています。
– これだけ大規模なイベントを取りまとめるのは大変なことだと思いますが、「開催して良かった」と感じた瞬間、出来事があれば教えてください。
曽我さん:以前、私の友人が日本代表としてASEP2021に参加してくれたことがありました。それから半年以上経ったある日、その友人と会ったときに友人はASEPのチームで出会った外国人参加者と連絡を取っていたんです。つまり、ともだちになっていたということです!ASEPがキッカケで外国人の友達ができ、またその交友関係が半年以上も続いていたんです。グローバル環境人材が国境を越えてともだちになれるこのASEPという場が本当に素敵だなと思い、開催してよかったと心から感じた瞬間でした。
– ただ議論をするだけでなく、国境を越えた交流を生むその環境づくりまでをもASEPが担っていると考えると、とても意義のある企画ですね。
曽我さん:はい。国境を越えたともだちづくりが環境分野で行われることで、アジアの環境問題を考える次世代の担い手が自国以外の状況を「他人事」から「知り合い事化」、ひいては「自分事化」することに繋がり、アジアが、アジア中に展開されているAEONを中核として、環境分野で協働する未来が切り開かれていくのではないかなと信じているんです!
– まさに未来を担う企画ですね。
曽我さん:またASEP2021に参加し、ASEPの開催価値を参加を通して実感したと言ってくれて、今年度は運営に回りたいとチームに加わってくれたメンバーがいたことは、本当に開催した意味があったなと実感させてくれた出来事でしたね。
※早稲田大学AEON TOWAリサーチセンターでは、「サステイナブルコミュニティを実現するためにはどうすればいいのか?」について実践的に学ぶため、大学内での授業も開講しています。
2022年度は、春クオーター(水曜4限)、夏クオーター(水曜4限)で実施される予定です。興味のある方はぜひ履修してみてください!
詳細はこちら(早稲田大学AEON TOWA リサーチセンター 公式HP)をチェック!
〇 今後の展望
– それでは、AEON TOWAの活動における今後の展望について教えてください。
曽我さん:今年度はAEONと早稲田大学、そして私達のホームである日本で開催される“ASEP”を中心に注力していく予定です。日本がホスト国だからこそ、メンバー自身があちこちに取材に赴き、現場の声を獲得したり、現場を肌で感じたりすることを通して、また日本の産業分野の第一人者であるイオンピープルや、日本の学術分野の第一人者である教授から至近距離で学ぶことを通して、メンバーの「アジアの皆に伝えたい!共有したい!」という想いを大切に、各国代表の皆さんにとって一生モノの財産となるような、最高のコンテンツづくりをしていく所存です!
脇舛さん:自国以外の人たちと対話することで新しい視点を得て今見えている世界を見つめなおすきっかけにしてもらえる場をつくりたいと考えています。参加者が「お客さん」としてではなく、主体的に参加し得るものが大きかったと感じられるような物を作りたい思いでいます。そのための、国境関係なく対話可能な環境づくりが大きな仕事の一つかなと思っています。最終的にはAEONさんへ、そしてそこから社会へと影響を与えることのできるような企画にしたいです。
〇 最後に
– 最後に、この記事を読んでくださっている方へ、お二人からメッセージをお願いします。
脇舛さん:AEON TOWAは、みんなが何でもできる環境が用意されています。だからこそ、昨年度はインターンシップの提案から企画まで学生が主となり活動させていただきました。これから先、新入生や在校生の方がこのAEON TOWAに入ってきたときに、やりたいことができる場所であるということ。さらには、「できない」ではなく「どうしたらできるか」を一緒に考えてくれる仲間や先生方がいるということを知っていてほしいです。なので、挑戦することを忘れずに、ぜひ一歩踏み出して私たちの活動に参加してほしいなと思います。私自身、リスクがあることをやりたくないという人間だったのですが、AEON TOWAに参加した約1年半での活動を通じて、「リスクがあっても、難しいことでも、周りの人たちと協力して乗り越えていけば素晴らしいものが作れる」ということを学びました。また、その過程で沢山の気付きを得られることも実感しました。AEON TOWAはそうした成長ができる環境だと思っています。もし、少しでも「何かやってみたい」と思っている人がいれば、恐れずにぜひ一緒に挑戦しましょう。
-「インターンを作りたい」という想い、まさにゼロからイチを実現された脇舛さんだからこその熱いメッセージですね。続いて曽我さんお願い致します。
曽我さん:私は活動をしている中で、「50cm前に進んでみよう」ということを意識しています。挑戦的なことで怖気づいてしまっても、一歩だけ踏み出してみると意外と新しい景色が見えたりするんです。AEON TOWAには心強い仲間や先生方がいる最高の学びと経験の場だと思っているので、少しでも環境や地域に興味のある学生がいたらぜひ私たちと一緒に、世の中に大きなインパクトを与えられるような活動をしていきましょう!
– ありがとうございます。皆さんの活動の魅力、そして皆さん自身の魅力についてお話を聞くことができたところで、本日のインタビューはここまでとさせていただきたいと思います。本日はお時間いただきありがとうございました。
曽我さん・脇舛さん:ありがとうございました。
〇 お知らせ
今月16日に、彼女たちの取り組みが紹介されるシンポジウムが開催されます!
活動内容や彼女たちの熱い想いを聞き、少しでも興味を持った方はぜひ参加してみてください!詳細はこちらをチェック!
【概要】
開催日: 3月16日(水) 13時から16時
開催場所 :ZOOMウェビナーでのオンライン開催
シンポジウムへの参加、その他詳細情報はこちらから