外国人留学生の割合が全校生徒の10%を占める早稲田大学。2018年には、外国人留学生の受け入れ数で全国1位にも輝きました。そんな早稲田大学の中でも、とくに国際交流に力を入れている団体があります。今回のインタビューは、早稲田で最も歴史のある国際交流サークル”早稲田大学国際学生友好会(WIC)”の皆さんにお話を聞きました。
〇WICについて
熊谷:それではまず、自己紹介をお願いします。
野口さん:早稲田大学創造理工学部環境資源工学科3年で前幹事長の野口 凌(のぐち りょう)です。よろしくお願いします。
杉本さん:早稲田大学文化構想学部3年の杉本 有里恵(すぎもと ゆりえ)です。サークルでは広報担当として情報発信などをやっていました。よろしくお願いします。
栃尾さん:早稲田大学人間科学部2年の栃尾 迅紀(とちお としき)です。来年度、広報幹事を務めます。よろしくお願いします。
熊谷:次に、サークルの概要と活動内容について教えてください。
野口さん:私たちは早稲田大学国際学生友好会というサークルで、通称WICと呼ばれることが多いです。国際交流サークルは色々とあると思うんですけど、その中でも一番歴史がある団体となっています。主な活動としては、大きなイベントが年3回あり、留学生との交流を行っています。
熊谷:どういったイベントをやられているのでしょうか?
野口さん:日本人メンバーの家に泊まって、留学生に日本の生活はどういうものなのかを体験してもらう2泊3日のショートホームステイ(SHS)、留学生と班になり稲門祭で各国の料理を販売する屋台村、留学生が日本語でスピーチをするスピーチコンテストの補助から運営までを行う3つのイベントを通して、日々留学生と交流しています。
熊谷:面白そうな企画が目白押しですね(笑)後ほど詳しくお聞きできればと思います。
〇入会のキッカケ
熊谷:さて、それでは次に今日来ていただいた皆さんの「WICに入ったキッカケ」についてお聞きしたいと思います。
野口さん:自分は入った時期がほぼ2年なのですが、
熊谷:2年入会もできるんですね。
野口さん:はい。その時はWICの存在を全く知らなくて。1年の時にいたサークルで仲良くしてくれていた同期の女の子がWICに入っていて、その子に「ちょっと来てみなよ」と誘われて入ったのがキッカケです。
熊谷:そんなフラっと入っていけるような感じなんですね(笑)
野口さん:そうですね(笑)その時は全然続ける気もなかったんですけど、気付いたら幹事長になっていたという感じです。
熊谷:すごいですね(笑)途中入会で、しかもそんな理由で入っても打ち解けられるくらいウェルカムな雰囲気だったんですか?
野口さん:はい。そこがWICの強みで、アットホームなサークルなので初めてフラっと来た人にも仲良くしたいという気持ちをみんなもっています。
熊谷:留学生もいますよね。フラっと入るには言語の壁が立ちはだかっている気がして…。コミュニケーションとか取りづらくないですかね。
野口さん:実はそれが、留学生が日本語メチャクチャ上手くて(笑)普通「英語話せないと…」とか思うじゃないですか、自分英語喋れないですけど向こうが日本語で話してくれるのでコミュニケーションで困ることはなかったです。
熊谷:えぇ(笑)国際交流のイメージが一気に変わりました(笑)
野口さん:良かったです(笑)
熊谷:じゃあ例えば、英語を勉強したいなと思うじゃないですか。そういう時って、ネイティブが日本語で英語を教えてくれるってことですか?
野口さん:そうですそうです。しかも、みんな母国語があるので…。
熊谷:ほう。
野口さん:中国語だったら中国人、スペイン語だったらメキシコ人といった具合で第二外国語までネイティブが日本語で教えてくれます(笑)
熊谷:うわ、まじか。自分、中国語落としたんですよ。
野口さん:それはぜひ入るべきです(笑)
熊谷:杉本さんはどのような経緯で入られたんですか?
杉本さん:私は1年生の一番最初から入っていたんですけど、友達が国際交流系のサークルを探していて、ついて行って入ったみたいな感じです。
熊谷:なるほど。決め手は何でしたか?
杉本さん:新歓コンパに行ったとき物凄く楽しくて、このサークルなら3年間続けられると思って入会を決めました。
熊谷:栃尾さんはどのような経緯で入られましたか?
栃尾さん:自分も1年生の一番初めからいたんですけど、もともと国際交流に興味があってTwitterでWICの写真を見て「楽しそうだな」と思い興味を持ちました。
熊谷:たしかに仮装とかして楽しそうな写真ありましたね。
栃尾さん:はい。しかもちょうどその日に新歓コンパがあって参加したら留学生もいたし、先輩もすごく優しくしてくれたので入会を決めました。
熊谷:皆さん本当に気軽に入られていますね。
〇「国際交流」を通して
熊谷:日本人同士の交流とは違った、留学生との交流だからこそ得た経験はありますか?
栃尾さん:先ほど野口さんも仰っていたのですが、ネイティブに直接日本語で言語を教えてもらえることは大きいと思います。自分はフランス語選択だったのですが、分からないところはフランス人の友達に聞けばストレートに知識を教えてくれるし、しかも日本語だったのでとても理解しやすかったというのはあります。また、アメリカへ留学に行ったメンバーなんかは日本で仲良くなったアメリカ人の友達が向こうでホームステイさせてくれたり、一緒に遊んでくれたりしていたので、そういった出会いの場としてもこのサークルは有意義なものになると思います。
熊谷:海外に友達を作れるようなものなんですね。そんな中でも、「これぞ国際交流だな!」と感じたエピソードを教えてください。
野口さん:「恋愛トーク」って、万国共通で盛り上がるんですよ。それで、恋愛トークをしていてWICのイケイケな韓国人の子が、「俺は付き合ってもないけど狙ってる子がいたら花束をあげるよ」と聞いたときにはカルチャーショックを受けましたね(笑)
熊谷:日本じゃあり得ないですもんね(笑)国が違うと文化も違うんですね。
野口さん:そうですね。日本では聞かない話やバックグラウンドを持っている人たちと関われるのがすごく面白いです。しかも恋愛トークの場合、「恋愛」というテーマは共通で、色々な聞いたことのない話が出てくるのでそれを顕著に感じられます。
熊谷:面白いですね。
杉本:私は留学生と京都旅行に行ったときに、留学生が街を案内してくれて、私も知らないような日本の文化を教えてくれました。
熊谷:そんなことあるんですか?!
杉本:留学生は日本人以上に日本のことを勉強しているので私よりも詳しい、なんてこともよくあります。
熊谷:なるほど。それを感じられるのも国際交流ならではですね。
栃尾さん:WICの活動で、日本語学校の授業ボランティアというものがあって、その一環で浅草ツアーをしたときに留学生がスカイツリーやメロンパンなど一個一個に感動しているのを見てすごく新鮮で、そのピュアな反応は日本人の自分にとって新しい発見だったなと感じました。
〇WIC「三大イベント」
熊谷:皆さんにまつわるサークルのお話が聞けたところで、次に、先ほど話に出た「三大イベント」について聞かせてください。
栃尾さん:はい。改めて、WICにはショートホームステイ(SHS)、屋台村、スピーチコンテストの「三大イベント」と呼ばれる活動があります。順番にご説明していきますね。
熊谷:お願いします。
栃尾さん:まず、ショートホームステイ(SHS)は毎年6月に開催されるイベントで、留学生に日本文化を知ってもらうことを目的としています。
熊谷:栃尾さんは実際に参加されてみて、いかがでしたか?
栃尾さん:WICに入っていちばん最初に留学生と交流できるイベントですし、2泊3日ということで1年生にとっては先輩ともすごく仲良くなれるので、とても楽しく、WICに入ったことを実感するイベントだと思います。
熊谷:他のお二人はどちらに行かれましたか?
野口さん:自分は江ノ島に行きました。
熊谷:どんなことをされたんですか?
野口さん:みんなで観光して、ご飯を食べて、一日の最後に花火をしようということになって、留学生たちもすごく盛り上がっているなか花火に火を着けた瞬間土砂降りになったのがいい思い出ですね。
熊谷:雨最悪ですね(笑)でも楽しそう(笑)
杉本さん:私の班は鎌倉へ行って着物で回る、というザ・定番みたいなことをしました。時期が良く紫陽花も綺麗で、留学生たちがすごく喜んでいたのが印象的でした。
熊谷:なるほど。日本らしい、いい経験になりますね。
栃尾さん:屋台村は、稲門祭という大学の公式行事にWICが参加するという形なのですが、昨年度は「世界の踊り」をテーマにエイサーとサンバとフラダンスの三つに分かれて、それぞれの国の料理を作って販売しました。この準備で、参加している留学生と交流して仲良くなっていく、というようなイベントでした。
野口さん:イメージ的には“海外の人もいる「高校の文化祭」”という感じです。みんなで集まって学生会館で作業して、終わったらご飯を食べに行く、みたいなのを毎日やっていました。
熊谷:毎日ですか!
野口さん:はい(笑)しかも、稲門祭での収益は班の打ち上げで使えるので、看板も派手に作ったり、「どうやったら売れるか」を必死に考えてやっていました。
熊谷:それは青春ですね。
栃尾さん:スピーチコンテストは、日本語学校や留学生から参加者を募り、参加が決まった外国人ひとりに15~6人のWICメンバーがついて、その留学生の原稿作成や発表練習の手伝いをします。発表の内容は留学生それぞれのオリジナリティがあって、例えば僕がついた子は昔から緊張しがちだったことから「緊張」というテーマで発表をしていました。最初は日本語が上手じゃなくても、週2~3回の練習でどんどん上手くなっていくのが実感できるので、すごくいい経験となるイベントでした。
熊谷:SHSや屋台村と違って、スピーチコンテストは真面目な要素が多いイベントなんですかね。
野口さん:そうですね。審査員の方もかなりしっかりとした方がお見えになるので。
熊谷:例えばどんな方がお見えになるんですか?
杉本さん:NHKさんやユネスコさんなどですね。
熊谷:えっ、NHKってあのNHKですか?
杉本さん:はい。
熊谷:早稲田にそんなイベントがあったんだ…。
熊谷:他の方も、スピーチコンテストで印象に残った発表は何かありますか?
杉本さん:コンビニバイトのスピーチはすごく印象に残っています。
熊谷:コンビニバイトですか。
杉本さん:はい。「日本のおもてなし文化はコンビニのマニュアルひとつにも表れているんだ」という話を聞いたときに、私としてはすごく新鮮で。私たちにとっては当たり前のことだけど、留学生の目にはコンビニバイトがこんな風に映っているのかと驚かされました。その人が書いてくれたから気付けたことであり、強く印象に残っています。
熊谷:今までのお話にも通ずるところがありますね。
杉本さん:あとは、原稿を作っていくなかで、一緒に言葉を考えたりすることによって、その人の想いとか考え方とか、スピーチで表されている部分以外のところまで共有できている感覚がとてもいい経験になります。
栃尾さん:僕は、留学生たちの「日本への憧れ」や「留学への強い思い」というのが印象に残っています。
熊谷:なるほど。
栃尾さん:留学生たちは、僕らが気付けない日本の素晴らしさや日本語の良さや難しさというものを感じていて、このイベントを通して僕らも留学生に教えてもらうというか、改めて「日本」について考えさせられるキッカケになりました。また、「海外の人が日本に強い憧れを持ってくれている」ということを感じることができ、いち日本人としても嬉しく思ったイベントでもありました。
〇WICが目指す場所
熊谷:WICには毎年テーマがあるとお聞きしたのですが、野口さんの代ではどのようなテーマを掲げていらしたのですか?
野口さん:僕の代では「家族」をテーマにアットホームな雰囲気づくりを心がけていました。コロナで繋がりがなくなった新入生に向けていち早くオンラインイベントを開催するなど、常に繋がりや温かさ、居心地の良さなどを意識して取り組んでいました。
熊谷:新幹部代となる栃尾さんたちはどのようなテーマを掲げられるのでしょうか。
栃尾さん:僕たちの代では「サードプレイス」というテーマを掲げています。これはスターバックスの理念となっている言葉で、「家・職場・もうひとつの居場所」という意味を表します。WICがその「サードプレイス」となれるように頑張ろうね、という話をメンバーとしています。
熊谷:めっちゃいいですね(笑)
〇メッセージ
熊谷:それでは最後に、これから1年間幹部を務める栃尾さんから同期の皆さんにメッセージをお願いします。
栃尾さん:同期に言いたいのは…。
熊谷:はい。
栃尾さん:同期にはすごい感謝していて。
熊谷:おぉ。
栃尾さん:というのも、2年の春からアメリカに1年間留学する予定だったんですけど、コロナで行けなくなってしまって。高校が国際系の学校だったということもあって、自分のなかで留学はすごい夢で。ずっと勉強していましたし、ずっと準備していて、「やっと叶う!あとは出発するだけ!」という矢先だったのですごく落ち込んだんですね。同期もみんな僕を送り出そうと留学前に色々な会を開いてくれていたので余計。
熊谷:そうだったんですね。
栃尾さん:でも、行けなくなったことを報告したときに「WICで楽しもうよ!」「俺らがいるから!」と励ましてくれたりして、もう、なんていい奴らなんだと思いましたね(笑)
熊谷:まさに家族ですね。
栃尾:その時に改めて「WICしかないな」と思いました。
熊谷:めっちゃいいエピソード持ってるじゃないですか(笑)
栃尾さん:(笑)だから同期にはすごく感謝してますね。
熊谷:ではこの記事を読んでいる新入生に向けてメッセージをお願いします。
栃尾さん:はい。WICで出来た仲間は、おじぃちゃんおばぁちゃんになってもずっと連絡を取り続けたいなと思っていますし、それくらい本当にみんな仲良くやっています。一生の友が作れる場がWICです。もし国際交流に興味があるなら、入って絶対に後悔しませんし、させないように僕らも運営を頑張っていきます。楽しいサークル活動が送れると思うので、ぜひ期待して入ってほしいなと思います。
熊谷:本当に楽しく、仲良く活動されている様子が伺えますね。また、国際交流の素晴らしさについても沢山教えていただきました。そんなWICの魅力が知れたところで、本日のインタビューはここまでとさせていただきたいと思います。皆さんお時間いただきありがとうございました。
野口さん・杉本さん・栃尾さん:ありがとうございました。
〇まとめ
国際交流を通じて、自国とは異なる文化に触れることによって、相手にとっても自分にとっても新たな発見ができたり、良い影響を与え合えるというのは素晴らしいことですね。今の自分をより成長させたい人にとっても、今の自分に新たな視点を加えたい人にとっても、WICはそのきっかけを与えてくれる場所になるはずです。皆さんとても優しい方たちだったので、少しでも興味を持ったら勇気を出してWICの活動をのぞいてみてください。
【WICについて】
もっと詳しくご覧になりたい方はこちらから閲覧できます。
活動内容から公式SNS、新歓日程まで掲載されています。
〇新入生よくある質問(Q&A)
Q.WICにはどうやったら入会できますか?
A.新歓Twitterへ「入会希望です!」と連絡していただければ大丈夫です!その後はこちらからフォームをお送りします!時間問わずいつでも大募集ですのでお待ちしております!
Q.1年生ではないのですが入会は可能ですか?
A.はい!2年入会の会員もいます!みんなフレンドリーなのですぐに馴染めています!ただ、原則3年入会は受け付けていません。
Q.インカレですか?
A.はい!全体の約1割がインカレです。日本女子や東京女子など様々な大学の会員がいます。インカレだということを忘れてしまうぐらいみんな仲がいいです!
Q.どのような活動(イベント)がありますか?
A.活動として「日本教室」「国際部」「三大イベント(Short Home Stay、屋台村、スピーチコンテスト)」があります。例えばスピーチコンテストでは留学生による日本語スピーチコンテストを開催します。原稿を考えたりスピーチの練習をしたりなど留学生とたくさん交流ができます!詳しい様子はInstagramやTwitterをご覧ください!
Q.コロナ禍ですが、留学生と交流できますか?
A.はい!すべてオンラインでの活動になってしまい以前ほどではありませんが、スピーチコンテストや日本教室、日本語学校の授業ボランティアなど交流できる機会はたくさんあります!日本語、英語、第二外国語で交流することができます!今年はオンライン留学している学生との交流も考えているので楽しみにしていてください!
Q英語が全く話せません。それでも大丈夫ですか?
A.問題ありません!留学生は日本語がとても上手なので心配なく交流できます。英語はもちろん第二外国語をネイティブから日本語で教えてもらえることも!
Q.何を見ればWICの活動の様子を知ることができますか?
A.WICではInstagram、Twitter、公式HP、公式ブログ、留学生ブログなど様々な媒体を運営しています!まずはInstagramとTwitterをみて活動の様子を知っていただきたいです!さらに、今年から新歓用Twitterアカウントを開設することになりました!新歓イベントや入会の方法など随時アップしますのでチェックしてください!
Instagram:@wic1956
Twitter:@wic_1956
新歓Twitter:@Wic2021
最後まで読んでいただきありがとうございました!この他にも質問などございましたら、メールやDMでお気軽にご質問ください!新歓イベントなどで皆さんにお会いできるのを楽しみにしています!
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