踊り侍に学ぶ、自分たちの「在り方」

インタビュー
インタビューサークル

下の動画は、先日の踊り侍さんの新演舞お披露目の舞台です。
このだだっ広い会場は、サッカーやLIVEに使われる、あの日産スタジアム!

踊り侍2020″ガルル” お披露目

狼の世界観を表現

息をするのを忘れるほどの、迫力ある舞いで魅せる圧巻の演舞
ナレーションとマッチし、描かれている感情や景色をバッと周りに広げるようなダンス

人を圧倒させる演舞ってこういうことなのだという、堂々たるものを見せつけられました。


そしてなにより、演舞の最後に代表の水高さんが息を切らしながら発する言葉が、インタビューでお話しされていた踊り侍への想いと合わさって、じんわりと熱いものを感じさせられました。

19代目代表・水高さん



立石:まず最初に自己紹介をお願いします。

水高さん:早稲田大学政治経済学部3年の水高健人です。出身校は早稲田実業で、「早稲田大学 踊り侍」の19代目の代表を務めております。

立石:19代目って長いですね…!

水高さん:そうですね。パフォーマンスサークルの中では結構長いと思います。

立石:さっきHPのメンバー紹介見たんですけど、いろんなあだ名で呼ばれてるじゃないですか。
水高さんは何ですか?

水高さん:僕ウォレスです(笑)
「ウォレスとグルミット」ってご存知ですか?粘土でできた キャラクターでして…(笑)知名度が低くてちょっと困っています。

(左)ウォレス

立石:あ、これか!たしかに見たら「あ~!これのことか」ってなるキャラですね(笑)

想いを大事にする練習

立石:では、踊り侍さんの活動内容について教えてください。

水高さん:例年だと、「北は北海道、南は高知まで、全国各地を踊り狂っている学生よさこいサークルです。」という紹介をしています。
「お客さんに衝撃を与えること」を目標として、チーム一丸となって頑張っています。
部員は現在、160人で活動しています。
早稲田大学と大妻女子大学が、だいたい1対1くらいの割合ですね。他にも日本女子大学とかいろんな大学のメンバーがいます。

立石:普段会えない人と会えそうですね!
踊り侍は誰でも入れるんですか?

水高さん:60~70人 で枠を決めさせてもらっているのですが、枠を設ける以上は落ちてしまった子の分も楽しんでもらいたいので、踊り侍のことを知ってもらうために、練習とかお祭りを見学することと、説明会に1回来てもらうっていう条件はあります。
あとは、かかる金額も、全部包み隠さず話すようにしています。続けてくれたら魅力も価値も充分あるので、そこを周知した上で入ってもらおうと…。

立石:確かに最初に言ってもらった方が信頼もできますしね。
練習は大体週何日ぐらいですか?

水高さん:絶対に参加する練習は週に2回で、水曜日と土曜日に3時間ほどやっています。

正規練(水・土)

それ以外にも自主的に参加する「踊り込み」と呼ばれる、個々の技術を磨く練習をやっていて、イベント前の時期は、ほぼ毎日やる形ですね。

正規以外の自主練

立石:結構みんな積極的に参加している感じですか?

水高さん:そうなりますね。

お祭りに参加するために必須となる「条件練」
それ以外に、お祭りを楽しむための
ユニークな「強化練」も!


立石:普段の練習って毎回どんな流れですか?

水高さん:まず最初練習始めるよってなって、代表の話が毎回ありまして。
想いを大事にしているサークルなので、とりあえず練習の最初に僕が「こんな意気込みで頑張ろう」って言ってからアップするんですけど、普通に体操するってよりは「アゲUP」って呼んでまして、盛り上がるような曲と一緒に体を温めるっていうことをしています。練習のエンジンをかけようってことで。

立石:楽しそうですね(^^)

水高さん:その後の練習メニューはその都度違っていて、最後僕の話で締めて終わりって感じですね。

立石:なるほど、考えられた練習をされてるんですね…!

踊り侍に関わる瞬間は、どんな人でも熱中できる。


立石:踊り侍さんにはどんな人が多いですか?

水高さん:結構様々なタイプがいて、サークルに100%のめり込んでる人もいれば、バイトと両立していたり、運スタさんと掛け持ちしていたりする人もいます。
でも変わらないのは、「パフォーマンス見て、仲間と熱中している姿に憧れて入ってきているメンバーが多い」ということですね。物事に熱中できるメンバーが多いと思います。

もしあまり練習に参加できなくても、踊り侍に関わる瞬間は、これに熱中できるっていう温かさがあると思います。

立石:代表としてそういう雰囲気を作っているっていうのがすごいですね。

水高さん:おそらく、連鎖が起きているんだと思います。パフォーマンス見ると熱中してる人たちだな、というのが心のどこかで伝わってそういうメンバーが入ってきてくれるんだと思います。僕も頑張らなきゃいけないんですけど(笑)

立石:同じ想いを感じた人たちを呼び寄せているんですね(^^)

この状況、自分たちは何をするべき…?

立石:今代表をされていて、大変だったこと、それから大変だった時に救われたなーと思うことってありますか?

水高さん:もうとにかくコロナになってからは大変でして、お祭りあってなんぼのサークルなので、お祭りが軒並みなくなって練習も禁止って言われてしまって。
お祭りという目標も失ったし、みんなと関われる時間も無くなってしまってそれなりにチームはすごく落ち込んではいたんですけど、そんな中でも「今年だからできることをやっていくしかない」っていう風に切り替えていきました。

例えば自粛期間中ですと、よさこいの文化に、演舞の間にお客さんと踊りましょうっていう、「総踊り」という文化があるんですけど。
「踊り侍バージョンで作って、全国に発信して一緒に踊ってもらえる動画とかあげたら、よさこい界隈が盛り上がるんじゃないか」と思って、侍総踊り“君としあわせだ”を制作して配信したり。

侍総踊り”君としあわせだ”


あとはいろんな他チームさんと協力して南中ソーランっていう演舞を一緒に踊らせていただいたりとかして。

2020 全国南中プロジェクト


自粛明けになると、パフォーマンスサークルとして今やるべきことは、「待っててくれるお客さんに何か届けることだ」と思ったので、ついこの前も日産スタジアムを借りて、新演舞のお披露目をさせていただいて。


2020新演舞 お披露目

立石:え!あんな大きいところで…!!

水高さん:毎年よさこいチームって1年に1演舞作っていて、それを本来なら5月ぐらいに北海道で行うソーラン祭りで発表するんですけど、今年はなくなっちゃったから日産スタジアムを借りてそこでお披露目したんです。
演舞の名前が「ガルル」っていう名前なんですよ。

熊谷:どういう由来なんですか?

水高さん:たぶん意味がわからないと思うんですけど…(笑)
例年なら名前を決めてから演舞を作るっていう形で踊ってるんですけど、今年はその形態を1回やめて、作ってから名前を付けましょうっていう形にしたんですよ。

そうして実際に演舞を作った後にみんなで考えた結果、唯一「ガルル」だけが、制作を終えた後だからこそ出てきた言葉なんです!
意味は全くわからない言葉にも関わらず、制作陣みんなでしっくり来ちゃってしまって、、、(笑)
この演舞の名前は「ガルル」なんだと思いました!

また、今は意味を持たない言葉でも、演舞を届けていくことで、「ガルル」という言葉に意味を持たせていけたらなという想いもあって、これに決まりましたね!

立石:しっくり来ちゃったんですね、なるほど(笑)
言葉に意味を持たせていくって素敵なことですね(^^)

「やらなきゃ」ではなく「やりたい」

立石:毎日ハードそうですが、どんなことをモチベーションにここまで続けてきたんですか?

水高さん:難しい質問…何だろう…。
でもやっぱりサークルっていうのもあるので、楽しいっていうのが原動力になっていますね。

部活みたいに誰か厳しい人がいて「やらなきゃ」っていう思いで成り立っているものではなくてみんなの「やりたい」という気持ちが集まって出来ているよさこいチームで、特に踊り侍はその気持ちが強いチームだと思います。

それなりにハードな時もあるんですけど、みんなでいいパフォーマンスを作るために練習をするっていうのも楽しいし、パフォーマンスしてお客さんから拍手もらうのも楽しいしっていう感じで。

立石:みんながそういう気持ちっていいですね!

いつしか主語が「チーム」に。

立石:代表になる前と後で変わったことはありますか?

水高さん:「自分がこうしたい」っていう想いから「チームをこうしたい」とか「メンバーとこうしたい」に変わりました。
昔は自分ひとりの夢を掲げてたけど、今はチームの夢を持てるようになりましたね。「このメンバーたちと何かを成し遂げたい…!」みたいな。

立石:いいですね。「自分」から「みんな」になったんですね。

水高さん:あ、代表やってたらこうなるんだなって思いました(笑)